ある動物病院では、トリマーのリーダーになると行動に問題が出てくる
ということがあり、院長から相談を受けました。
初めて相談を受けた時は、個人に問題があるのだと思っていましたが、
その後2人も同じような感じになったので個人ではなく、
構造に何か問題があるのではないかと思い、原因を考えていきました。
私はコミュニケーション不全が原因ではないかと思い、
獣医師、看護師、トリマーのリーダーだけで月に1回ミーティングを
やって現状の問題点や悩みなどを話し合う場を設けることを提案しました。
すると少しずつ状況が良い状態へと変わっていきました。
リーダーミーティングを仕切ってくれている看護師長に
何が問題だったのかを確認すると、コミュニケーション不全が
原因だったと言われました。
トリミングの予約が詰まっていて、なかなかトリミングルームを出ることも
少なかったことで話す機会が減り、仕事の連携が悪くなっていました。
連携が悪くなると
「何で片づけを手伝わないんだ?」
とか
「忙しい時に少しは手伝ってくれてもいいじゃないか」
という風にお互いに不満を抱くようになっていったのです。
別に悪気はなく、状況が分からなかったから手伝うことができなかった
だけなのです。
実は動物病院ではこうしたお互いの勘違いなどが原因で問題に
なってしまうことが多いです。
全ての問題は人間関係とコミュニケーション不全が本質的な
原因と言っても過言ではありません。
このような根本的な問題が分からないと、
「トリマーのAさんは自分のことだけしか考えず注意しても変わらない
言っても直さないのであれば辞めてもらうしかないな」
となってしまうのです。
他の動物病院でも同じ問題が定期的に起きるということを院長から
ご相談いただきました。
これも話を伺って分析していくと個人に問題があるというよりも
問題が起きる構造があるということが分かりました。
もしご自身の病院内で同じような問題が起きているのであれば
問題が起きる根本的な原因は何かという視点で考えた方が
良いと思います。
もちろん個人に問題がある場合もありますが、2度3度と人が
変わっても同じ問題が起きるのであれば組織に問題があると
考えたほうが良いでしょう。
そして本質的な問題が分かったらどうやって解決していくかを
考えることになりますが、これは院長だけでは解決できないことが多いです。
仮に獣医師で問題が起きているとしても、獣医師だけではなく
看護師、トリマーのリーダーも交えて現在起きている問題を共有し
どのように解決していくかを考えていったほうが良いです。
なぜなら看護師やトリマーにも影響していることがあったり
客観的に見てどのように解決すればいいかということの解決の糸口
を見出すことができるかもしれないからです。
1つの部門で起きた問題であっても他人事ではなく、
病院全体を見るという視点を養うにもこうしたことは
必要です。
院内で人を変えても同じような問題が起きるのであれば
個人に問題があるという視点だけではなく、
組織の構造に問題があるのではないかという視点を持つように
してみてください。
そして院長だけで考えるのではなく、リーダー層のスタッフに
問題を共有し、本質的な問題点は何か?そして解決するには
どうしたらいいかということを考えるようにやってみてください。